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まちなみ保存の現場にて -北村(プクチョン)-
江北地区に「北村(プクチョン)」と呼ばれる地域がある。景福宮と昌徳宮にはさまれた嘉会洞(カヘドン)の周辺はかつて伝統的な上流階級居住地であり、いまも都市型韓屋(ハンオク)が残る地域のひとつである。
韓屋とは韓国の伝統的な住まいのことである。北村の韓屋は1930年代につくられたもので「都市型韓屋」と呼ばれる。空に向かって反った軒、またぐ形になる敷居、格子が狭く観音開きの障子、いずれも特徴的である。

北村は1984年に「韓屋保存地区」に指定されたが、1991年には一度それが解除されている。その後1999年になって住民側からまちづくりに対する要求が生じ、ソウル市も都心部管理計画や「北村まちづくり総合対策」を策定した。この経緯からは住民の意思が反映されているようにおもわれる。実際に事業としては「韓屋登録制」の実施、「韓屋回復」という修繕工事費の支援のほか、韓屋を「買い入れ」することなどがおこなわれている。買い入れした韓屋のうち、修繕されて地区の文化センターや博物館として利用されているものを見学することができた。しかし、いずれも現在は居住しているものではないため、生活者の視点から保存をどうとらえるかといったことまではわからなかったのが残念であった。

20世紀初頭のソウルの都市住居形態と生活文化をいまに伝えるものとして価値が認められる北村。学術的にはいつの時点の状態を保存することが望ましいのか、また生活者の視点からは実際の暮らしとの調整はどうするのか、表面的にまちなみ保存が進むいっぽうで議論の必要な課題も残されている。
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