レター4号(1999.06.01)

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第5号(1999.09)
第4号(1999.06)
第3号 (1999.03)
第2号(1998.12)
創刊号(1998.09)

 

ここでは一部を掲載しています。

住宅営団研究会(第2回)報告

西山文庫・積水ハウス総住研 交流研究会
家族のくらしと住宅の未来像シリーズ 
第3回(4月23日)交流研究会住宅需要の将来展望
講師 三宅 醇氏(豊橋技術科学大学教授)

住宅営団研究会(第2回)報告
 第2回研究会が、1999年4月17日(土)学士会館で開催されました(以下敬称略)。出席者は、研究会から海老塚、大本、前田、大月、菊岡、安藤、森本、塩崎、広原の9名全員、日本経済評論社から栗原、清の2名、計11名でした。その概要を報告します。
1.研究報告「同潤会について」    大月敏雄
 大月報告は、住宅営団の前身としての同潤会に焦点を当て、その多彩な活動ぶりを各方面から明らかにしている。以下は、レジュメの抜粋である。
・同潤会の発足にあたって:関東大震災義捐金(の余剰金)に着目して同潤会を設立した池田宏(内務省初代都市計画課長)の評価。
・同潤会の事業:震災住宅復興機関でありながら、仮住宅・普通住宅・アパートメントハウスの建設事業、不良住宅地区改良事業、分譲住宅供給事業、民間賃貸住宅経営コンサルタント事業、東北農山漁村住宅改善案作成、住宅政策に関する調査研究事業など、きわめて多岐にわたる事業活動を展開した同潤会の性格と役割の変遷について。
・同潤会アパートの設計:初期・中期・後期の3期に分かれ、各期の重点目的は、被災者のための緊急大量供給→中流向け理想アパート建設→記念碑的大プロジェクトへと変化、住宅営団に先駈けてアパート設計における型計画を確立(西山の型計画論への影響)。
・同潤会から住宅営団へ:多岐にわたる住宅関連事業のノウハウを活かしての延命と戦時下公的住宅供給機関としての全国展開。
・同潤会アパートの払下げ:RCアパートの払下げにともなう多様な集合住宅管理ノウハウの開発について。
・同潤会アパートの現在:スクラップ・アンド・ビルドから保存活用へなど。
2.研究報告「戦時期・戦後直後における住宅営団の機能」        大本圭野
大本報告は、戦時期に設立された国家機関としての住宅営団の機能・役割を解説し、戦前と戦後の住宅政策を媒介した住宅営団の歴史的役割を明らかにしている。
(1)戦時期という時代的意味と日本的特殊性
・19世紀の社会問題に取り組むために20世紀前半は「国家化」戦略がとられ、その頂点が戦時期である。
・戦時期の日本は戦時経済体制と戦時社会政策の両輪で総力戦を戦い、住宅分野では国家化すなわち国策会社としての住宅営団を設立するが、戦時社会政策の不十分さによって以降の住宅政策における日本的特殊性が規定された。
(2)戦前における住宅営団の特徴
・統制経済の下での住宅直接供給機関、しかし中央集権的国家機関であり戦争推進機関のゆえにGHQにより閉鎖。
・住宅営団の活動時期は3段階に区分され、主たる業務は第1期(昭和15〜18年):労務者住宅(社宅)と庶民住宅(持家分譲住宅)の供給、第2期(昭和18〜20年):バラック住宅の建設、第3期(昭和20年〜閉鎖):国庫補助住宅の建設である。
・住宅供給が国家的要請でありながら公的資金節約のために社会政策的性格よりも経済政策型政策としての性格がつよく、戦後の住宅政策の原型(中央集権、経済政策優先)となる。
(3)住宅営団の歴史的役割
・営団住宅は国庫補助住宅=公営住宅のモデルとなる。
・住宅関係の人材と技術の育成を通して戦前と戦後の媒介役となる、住宅営団の閉鎖により人材が戦災復興院・建設院・建設省へ継承され、地方自治体にも拡散するなど(以下略)。
 
 次回研究会は、新たに富井正憲氏(神奈川大学)に参加していただき、朝鮮での住宅営団の活動報告を中心に8月28日(土)〜29日(日)西山文庫において開催を予定しています。


西山文庫・積水ハウス総住研 交流研究会
家族のくらしと住宅の未来像シリーズ 第3回(4月23日)
交流研究会住宅需要の将来展望

講師 三宅 醇氏(豊橋技術科学大学教授)

【あいさつと講師紹介】
 2020年あたりに向かって、日本の家族と居住事情はどう変化するのか、とくに高齢化少子化の中で居住のライフスタイルや住宅サービスがどうなるか、交流研究会ではいくつかの角度から光をあてて将来展望をこころみています。前回テーマの高齢者と多世代が協同居住するコレクティブハウスにつづいて、本日は、住宅需要論というマクロな見地から取り上げることにしました。
 講師の三宅先生は、日本における住宅と居住の事情の変遷を、統計を駆使して実証的に解析し、その上で住宅政策への重要な提言をされておられる、この分野の第一人者です。近年では自治体の住宅マスタープラン策定の指導者としても大活躍なさっています。 
【講演の要旨】   
 日本の住宅事情をマクロに知るセンサスデータとして5年ごとに行なわれる国勢調査と住宅調査とがあります。後者がスタートしたのが1963年で、私が学部を卒業した年です。政府の方では、これも5年ごとに住宅建設五ヵ年計画を策定していましたから、研究の最初のころは、5年間で住宅事情がどう変化したかの解読をしていました。次第に時系列データと解析理論が蓄積されてきましたので、これを住宅事情史として、需要と供給、つまりは住宅市場のダイナミックスで描いています。
■ニーズとデマンド 
 日本語の「需要」は、ニーズ(要求、必要性)、デマンド(購買力・市場性)の二つの意味を含んでいます。人口・世帯、住宅事情と改善要求はニーズの背景ですが、これを私は需要圧といっています。旺盛なニーズがあっても、それが市場で需要として顕在化するわけではありません。賃貸住宅や分譲住宅など供給サイドの条件と合致するところで需要として顕在化するわけです。
 ところで、なぜいま住宅需要をつかむ必要があるのかといいますと、第一に、政府や自治体が住宅政策や住宅マスタープランを立てる参考とする、第二にハウジングや不動産産業が「売れ筋」を見るために、第三に住民や研究者が「問題点・矛盾」の現れを検証するために、などの目的があります。
■木賃アパートからワンルームへ
 日本の戦後の住宅事情の移り変りを市場から考えてみます。まず、ニーズの面では、人口とその構成の変化があります。第一次ベビーブーム世代は、高度成長と急激な都市化のなかで実に旺盛なプラスの需要圧を高めてきました。それが、ライフサイクルでいうと、青年単身借家→世帯用借家→第一次持ち家→第二次持ち家と、家族成長と所得の上昇に応じてすすむ上りスゴロク需要を形成してきました。1950〜75年にわたって、木造アパート、公営住宅、小分譲住宅、一戸建て住宅、郊外住宅団地といった次々に市場に登場した「住宅型」による大量供給がこれに対応してきたからです。住宅型とは、ニーズを市場化するために住宅の供給サイドが開発します。民間だけでなく公営・公団住宅など公共も新しい住宅型を生み出してきました。将来を展望するときでも、戸数といった量だけでなく、どのような住宅型が現われるか、政策からいうとどのような住宅型を誘導すべきが問題になるわけです。需要予測といえばグラフで右上がりの成長曲線が続いてきたのです。
 ところが、ちょうど石油ショックのあと1975年あたりから民営アパートや郊外公団賃貸住宅の空き家が増加しはじめました。ベビーブーム世代が持ち家階層化して、その後にマイナスの需要圧が生じたのです。すこし空白が続いて、1985年に以降になると第二次ベビーブーム世代が青年期になり、結婚年齢も上昇して、単身借家需要が戻ります。その間に貧しかった木賃アパートの多くが淘汰され始め、代わって豊かになった若者のニーズを満たすワンルームマンションが登場します。
■持ち家住宅にもマイナス需要圧
 借家にくらべて持ち家需要は堅調に伸びてきたように見えます。しかし、ここでも初期の建て売り住宅や公共分譲住宅、あるいは宅地分譲住宅の住宅型では、狭小化、スタイルの陳腐化、老朽化とともに買い替え・住み替えという負の需要圧が生じます。プラスの方は、限界的に遠隔の郊外団地の一戸建て住宅、あるいは便利な立地の家族型分譲マンションとなって現われます。ここでは、旧い住宅型の淘汰を加速したバブルの圧力も見逃せません。人びとは住み慣れたコミュニティから追い出されて都市の空洞化が一気に拡がったのです。
■マクロな将来予測
 高齢化少子化といった世帯数とその構成の変化が家族居住の型にどう現われるのか、私は独自に工夫したライフサイクルマトリックス=LCM を中間項に置いて予測しています。 1995〜2020年を予測期間としてみます。いうまでもなく、この時期の最大特徴は、高齢者人口の圧倒的増加です。寿命が伸びて高齢期が長くなった。住宅は一応確保済みですが、誰とどう暮らすかという居住方式の選択問題になってきます。〈単身居住〉とは一人住まい=単独居住、まず、年齢別自活度に対応する居住方式を4区分してみました。まず〈施設居住〉とは、老人ホーム、病院、その他の施設居住です。これが2020年に3倍、〈夫婦居住〉高齢者夫婦の2人住まいは4倍、〈単身居住〉単独居住も4倍です。〈家族居住〉は2倍程度になります。
 さらにもう一工夫こらして、ケアの必要度=元気状況で4区分してみます。T.要重介護層は、前記の施設居住層に対応します。U.要介護層は、ヘルパー派遣など多様なサービスを必要とする層です。そして、V.少支援自立可能層、W.完全自立元気層です。推計してみると、T・U層が4倍になります。V層は3倍増ですが絶対数では最大です。このV層の居住ニーズにうまく応えられる住宅政策ができるかどうかで、T・U層への圧力も変わることになります。
■予測にもとづく展望
 第一に、既存ストックの改善でも新規建設でも、V層の地域居住を可能にするシルバーハウジング化が重要となります。その内容として私は5点セットを提案しています。すなわち、住宅の高齢者仕様、緊急通報システム、生活支援スタッフ=LSA 、デイケアサービス、そして住みやすいコミュニティ、です。
 第二に、居住の立地を選択することです。郊外一戸建て住宅開発の前線も縮小するでしょう。住み慣れたコミュニティに住み続ける住宅改善、高齢者共同住宅への転用、きめ細かいニーズに対応する多種小規模供給へのニーズが増加するものと思います。都市の空洞化に見られるように住み慣れたコミュニティから高齢者を引き剥がすようにするのは親孝行とは言えなくなるでしょう。一方、郊外一戸建て住宅の需要圧も下がり、空き家化や転用、淘汰が進むことが予想されます。
 第三に、CO2排出量削減の影響もあり、使い捨て時代から、借家でも持ち家マンションでも、ストック寿命のある高品質住宅、そこでの家賃や費用との兼ね合いが問題となってきます。マスハウジングの時代は終了しました。需要圧が下がるなかで、いかにして高品質でかつ変化する社会的ニーズにきめ細かく対応できる多品種の住宅型とコミュニティサービスを供給できるか、これが次の住宅需要の姿を決めることになるでしょう。
【ディスカッション】
◆郊外一戸建てストックを高齢者協同住宅に転用することは、その条件はあるか。
◆都市の住宅ストックに魅力あるものが少ない。どう住み続けるか。
◆自治体住宅マスタープランではコミュニティ単位の計画を。
◆福祉、住宅、環境など新しい居住政策を推進できる自治体行政は、等。
 (まとめ 三村浩史・文庫副運営委員長)

 

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