ここでは一部を掲載しています。
夏の学校で3日間の熱い交流、交歓
―全国から郡上八幡に約80名の院生・学生が集う―
今年で7回目となった夏の学校を、岐阜県郡上市八幡町で8月24日から3日間開催しました。郡上八幡は三方を山に囲まれた小さな美しい旧城下町です。ちょうど郡上踊りのシーズンでまちが一番輝いているときでした。建築、住居、まちづくり関連分野で学ぶ全国各地の17の大学から大学院生、学生約80名(リピーター11人)、スタッフ11名が参加しました。「ダイブイン・踊りと水のまち―郡上八幡を探る」と題した今年の夏の学校の特徴の一つは、郡上市との協同の取り組みができたことです。
初日の午後は、保存建物でもある旧八幡町役場の2階の大広間に集まりオリエンテーション。市役所の人から「郡上八幡―まちなみ・まちづくり」と題して、地域でのまちづくりの概況説明を受けてから、2コースに分かれてまちあるきに出かけました。ほとばしる清流の吉田川のそばで、水環境の保全などに取り組んでいる住民組織「さつきの会」の皆さんから、また職人町では町並み保全と景観形成に熱心な住民団体の方から説明を受けました。
交流会の会場では食事の後、郡上踊りの実演と講習を受け、夜になって桝形地蔵祭に参加しました。郡上踊りの輪に加わり、しばし軽快なリズムとしっとりした情緒のお囃子に体をゆだね、心地よい汗を流しました。
市民まちづくりフォーラム
「まちの魅力再発見〜郡上八幡の水と町家〜」 2日目の午前中は、郡上市と共催した講演会「市民まちづくりフォーラム・まちの魅力再発見・郡上八幡の水と町家」に市民とともに聴講しました。長く郡上八幡の水環境調査や水縁都市づくりに携わってこられた渡部一二多摩美術大学教授による「水環境とまちづくり」と、後藤治工学院大学教授による「歴史が活きる町並みまちづくり」です。平日の午前中にもかかわらず大勢の市民が熱心に耳を傾けました。市民の参加は、学生にとっては学習の場、市民との交流の場ともなりました。
最初の講演は「水環境とまちづくり」です。渡部先生は、国内外の水辺空間のデザインサーベイを手がけていらっしゃいますが、『水縁空間・郡上八幡からのレポート』(共著、住まいの図書館出版局)の著書もあります。先生自身の水辺空間への関心の広がりや、水路や水空間と生活利用にかかわるさまざまな調査研究の成果をお話しいただきました。とくに郡上八幡の水環境については、30年近くかかわってこられ、今日、市民や行政の取り組みを励まし、推進してこられた話もされました。一方で、共同井戸や水路などの水辺空間とそこで営まれてきた日常生活が、近代化の中で次第に変化してきた様子なども、最近の調査結果もふまえて、わかりやすい話しぶりで有意義な内容でした。
もうひとつの講演は「歴史を生かした町並みとまちづくり」と題して、後藤教授から建築文化と文化財の保護行政との関連、技術的な問題などもお話しいただきました。先生は、文化庁文化財保護部での勤務のご経験もあり、郡上八幡の歴史的な町並み形成にもこれまでかかわってこられました。郡上八幡の歴史的な町並みに限定するのではなく、歴史的な町並み景観の保全、修復のあり方について、幅広い内容でした。
講演の後の質疑では、吉田川の水環境が近年大きく変化していることが鮎釣りからもよくわかるということ、川や水環境を守るためには周辺の山の自然も一緒に守らなければならないこと、町並みの保全には住民の理解と協力がなければうまくいかないことなど、郡上八幡の今後のまちづくりにかかわる議論が行われました。
午後からは、8チームに分かれてのワークショップの作業が夜の12時まで続けられました。台風を心配しましたが、ほとんど雨に降られることもなく幸いでした。
3日目、朝から作業が継続されましたが、今年の特徴はパソコン、プリンター、プロジェクターを自由に活用してデータや写真の整理、プレゼンテーションづくりが行われたことです。午後から、旧庁舎2階広間で各チームによる発表。模造紙、パソコン(パワーポイントや画像)、シナリオによる演劇など、短時間の調査、作業にもかかわらず、多彩な表現方法によるレベルの高いプレゼンテーションがされました。来年度からは、発表をビデオに撮っておかないといけないなというのが今年の実感、郡上八幡におけるまちづくりにも参考になる提案がいくつもあったと思います。
これまでの夏の学校の中ではもっとも小さな規模のまちでの開催でしたが、行政との協同の取り組みと充実した教科書の作成によって、大きな成功をおさめたといってもよいでしょう。学生たちは、大小の河川や縦横に走る水路、市内に残る共同井戸など、水が身近に感じられる美しいまちで楽しく学びました。また、特徴のある町並みや住民の皆さんの親切でゆとりのある生活についても、いたるところで実感できたと思います。
終了してから、名物になっている吉田川から飛び込んだ学生もいましたが、まちの中や住民の中に飛び込んだ取り組みは、「ダイブイン」のサブタイトルにふさわしい内容だったといえます。リピーター参加の学生も多く、自由な形式での全国規模の学生交流と現地学習の場として、独自のスタイルを確立しつつあります。準備は大変ですが、来年度も第8回夏の学校をぜひ開催しようというのが、文庫運営委員会の結論です。
例年のレクチャーを市民にも公開するという形で郡上市と共催して、会場確保や費用負担を郡上市のご協力で行うことができました。実施にあたって、郡上市八幡地域振興事務所基盤整備課都市計画係長五味川裕明さん、斎藤知恵子さん、(財)郡上八幡振興公社の江川さん、ご講演いただいた渡部先生、後藤先生、現地で説明いただいた「さつきの会」、「職人町町並み保存会」ほかのみなさまにお世話になりました。
コーディネーターは海道が担当し、名城大学のゼミ生には、教科書作成など事前準備に協力を得ました。(まとめ:海道清信)
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